
ロバート・リロイ・ジョンソン
Posted on January 2nd, 2010 by Author
ロバート・リロイ・ジョンソン(Robert Leroy Johnson、1911年5月8日 - 1938年8月16日)は、アメリカ合衆国ミシシッピ州出身のブルース・アーティスト。1930年代に活躍した。同時代の多くのブルースマンたちや、その後のロックミュージシャンたちに多大な影響を与えたブルースのオリジネイターの一人である。ローリング・ストーン誌の2003年8月号のカバーストーリー「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」に於いて第5位。
生涯
1911年、ジョンソンはミシシッピ州ヘイズルハーストに生まれた。父親はチャールズ・ドッズ・ジュニア、母親ジュリア・ドッズだったが、ジョンソンは実は彼女の浮気相手ノア・ジョンソンとの間に生まれた子供だった。10代の頃に本当の父親の存在を知った彼は、ジョンソン姓を名乗るようになった。
1929年、まだ16歳だったヴァージニア・トラヴィスと結婚し彼女は二人の子を身篭るが、翌1930年、ヴァージニアは出産の際に子供とともに亡くなってしまう。
アコースティック・ギター一本でブルースを弾き語りして、アメリカ大陸中を渡り歩いた。当時の聴衆はそのギター・テクニックが巧みなのに驚き、「十字路で悪魔に魂を売り渡して引き換えにテクニックを身につけた」という伝説が広まった。これが彼について語られる「クロスロード伝説」である。
1936年11月、ジョンソンはテキサス州サンアントニオで初めてのレコーディング・セッションに臨み、3日間で16曲をレコーディングした。1937年6月には二度目のレコーディングのためにダラスに赴き、13曲を残している。彼が生涯に残したレコーディングは、この29曲(42テイク)だけである。
翌1938年にジョンソンは、27歳の短い生涯を閉じている。彼の死因については諸説がありはっきりしない。一説では夫のいる女性に手を出したため、27歳の時にストリキニーネで毒殺された、情事を夫に目撃されてその場で刺し殺されたなどと噂されているが、ジョンソンの妹は病死だったと語っている。上記のクロスロード伝説では、彼を殺したものは悪魔であると語られている。亡くなったミシシッピ州グリーンウッドの町役場に提出された彼の死亡届では、彼の死因欄には「No Doctor」とのみ記載されている。
1938年暮れ、プロデューサーのジョン・ハモンドがカーネギー・ホールでの開催を予定していた「スピリチュアル・トゥ・スウィング・コンサート」にジョンソンを出演させるため、彼を捜してまわったが、そのときにはジョンソンは他界していた。
1961年にジョンソンのレコーディングがLP(King of Delta Blues Singers)でリリースされ、ジョンソンの音楽は注目を集めるようになった。
1989年には、初めてジョンソンの写真が公開され話題を呼んだ。そして翌1990年には、これまで未発表だった別テイクも収録したThe Complete Recordingsがリリースとなる。このジャケットに使われていた写真は前年公開されたものとは別のもので、これもここで初めて披露されたものであった。今日まで、ジョンソンの写真として一般に知られているのはこれら二点のみである。
ジョンソンは一人の息子をもうけ、彼の孫は今もヘイズルハースト近郊に住んでいる。
ディスコグラフィー
- 1961年 The King of Delta Blues Singers (Columbia)
- 1970年 The King of Delta Blues Singers, Vol. 2 (Columbia)
- 1990年 The Complete Recordings (Columbia/Legacy)
関連する作品
- ジャック・ウォマックの小説『テラプレーン』では、過去の地球に似た「もう一つの世界」が登場する。そこでは、1939年になってもロバート・ジョンソンが生きており、彼がニューヨークのハーレムでライヴをするシーンがある。この小説のタイトルも、ジョンソンの曲「テラプレーン・ブルース」からとられている。
- 浦沢直樹の漫画『20世紀少年』に、彼のエピソードが登場する。また、作中のロックバンド・エロイムエッサイムズのギタリスト・ダミアン吉田が、それに酷似した経験をする。
- 平本アキラの漫画『俺と悪魔のブルーズ』では、クロスロード伝説を主軸に平凡な農夫・RJの数奇な運命が描かれる。RJすなわちロバート・ジョンソンの生涯をモチーフとして物語が展開し、サン・ハウスやウィリー・ブラウンなど実在したブルーズマンが登場するが、大筋は純然なフィクションとなっている。
- エリック・クラプトンは、若い頃から何度もロバート・ジョンソンの曲を取り上げてきたが、2004年には全曲ジョンソンのカヴァーから成る『ME AND MR JOHNSON』を発表。
- ラルフ・マッチオ主演の青春映画「クロスロード」(1986年)はロバート・ジョンソンと十字路の伝説をモチーフにしている。
- テレビドラマ『スーパーナチュラル』において、ロバート・ジョンソンが悪魔と契約した話と、それと同じ方法で悪魔と契約した人間が登場する。
- GRAPEVINEのアルバム『déraciné』の楽曲「GRAVEYARD」はロバート・ジョンソンとクロスロード伝説をモチーフにしている。
- 平岡祐太、加藤ローサ主演の映画『イツカ波ノ彼方ニ』(丹野雅仁監督)に、十字路の伝説を信じ、自分も魂を売って三味線の演奏技術を会得しようと十字路で悪魔を待つ沖縄の若者が登場する。